寿司「もり田」の森田さんに学ぶ、一流であるということ

20年来、ずっと憧れていた地元の寿司屋「もり田」。

先日、取材で伺うことになり、それはそれは

もう、うれしいってもんじゃない。

思わず、取材のアポの際に大将に声はずませて

「うれしいです!」と言ってしまったほど、ルンルンでした。

20年前、会社の上司にいつもどこに行きたい?と聞かれて、

「もり田!」と即答していたほど、行きたかったお店なんです。

あの家庭画報に20年前すでに掲載されていたほどのお店ですから、

どれだけ貴重な店かが分かっていただけるでしょう。

でも、行けない理由は、高級寿司屋だけに手が届かない、

一軒さんはお断りらしい、予約が取れない、など

巷のイメージが先行し、

行きたくてもよほどの知り合いがいないと

敷居が高すぎて行けないでしょうと思っていたのです。

取材当日、さすがの私もカチカチになりつつ、

緊張気味でおそるおそるお店の扉を開けました。

意外にもカウンター8席という限られた小さなお店で、

6席に常連さんが座っていて

カウンターの中には大将の森田さんと奥様、

お弟子さんお二人がいらっしゃいました。


森田さんは、寿司を握りはじめて、55年。

「もり田」を開業して約30年あまり。

何よりも驚いたことに、

大将の森田さんは今年で77歳なんです。

世の中では立派な高齢者と言われるはずの

年齢であるにも関わらず、

今も現役の寿司職人さんなんです。

つまり、弟子任せにせず、

森田さんがお寿司を握って

お客さんに提供しているということ。

森田さんになぜかと聞くと

「握る人の手が変わると、全部の味がまちまちなるでしょ」と。

それが良くないがゆえに、必ず自分一人で握っているというのです。

しかも、森田さんとお客さんが和気あいあい、

とても和やかないい雰囲気の中で

常に会話をしながら独創的な寿司を握っては、

お客さんを楽しませている姿にも驚きました。


あれ?何かが違う。

そうです。よくある職人特有の偏屈さや頑固さはどこへやら。

森田さんからは全くそんな雰囲気は微塵も感じないのです。

お客さんとのやりとりがとても自然で、とても温かいんです。

「もり田」がこんなご時勢にあっても、

今も連日、お客さんでいっぱいで入れないと

言われるその理由は、森田さんの「人柄」に

あるということだとが分かりました。

森田さんがそばにいるだけで、語らぬ言葉があるかのように、

森田さん自身=店であるといってもいいくらい、

話を聞かずして森田さんがどんな方なのか

言葉では表せない空気感やおもてなしのこころ、

職人としての心意気や粋、人柄など一瞬で

多くのものを感じることができるんです。


それは80年近くの人生経験だったり、

職人として、経営者としてどうありたいか、

お客さんにとって何を提供すれば

一番喜ばれるかということへの追求。

常にお客さん目線でお客さんを感じていること。

一つの道を一筋にまっとうされ、

まるでそれがご自身の使命であるかを

知っているかのように。

いろんなことが寿司一つひとつに、

そして森田さんご自身からにじみ出てくるんです。

だから、森田さんが握るお寿司は、とても深くて温かくて、

食べる人と一体になるかのように、自然。

見た目の美しさやいろんな素材を

さらにおいしくするための工夫を重ねただけでなく、

常に感動や驚きがあり、ギラギラしない本物の輝きを感じるんです。


「お寿司も時代とともに変化するから、

その変化について行かなければ取り残されて行く」

だから、東京の寿司屋を廻っている。

若いもんには負けられんからね!と

今も勉強も重ねているという話にも本当に驚きました。


人ってやっぱり、年齢じゃないんだな。

つまり、その人の意志が左右するということ。

私はそういう生き方は大好きです。

そして、一つの道を歩むと決めたならば、

その道をそして、自分の使命をまっとうすること。

店を大きくしすぎないことにも触れていましたが、

常に目の前にお客さんが届く範囲で

一人一人の食べる速度やタイミングであったり、

好きそうな雰囲気を察知し、

同じ寿司でも森田さんだけが分かる繊細な変化をつけて

お客さんに合わせて提供しているということ。

そして、東京から有名な俳優さんが来ても、

あくまでもお客様を公平に先客を通していること。

しかも、一軒さんお断りではないんです。

だから席さえ空いていれば誰でも入れる。


森田さんは個人的にフランス料理も食べていて、

ワインもお店で提供していること。

だから、ワイン好きなある女優さんが足を運ぶんですねと話し、

その旦那さんの有名なパティシエさんがお店に足も運べないと知ったら、

帰りにさりげなくお寿司のセットをお弁当にして持たせたという話に

年齢からは想像ができないくらいに柔軟な人なんだな〜とまたまた驚き。


私が何も言わないのに、取材用に握りが5、6貫出されて、

それは大将のはからいですから!とお弟子さんから聞いたときの感動。

寿司に対しても何をつけて食べるか、

それだけしか伝えず、それ以外に何も触れないこと。

最後の最後まで、まるで娘でもおかしくないくらいに若い(!?)私でも

見下すことなく、のれんから出て、丁寧にお見送りくださったこと。

スタッフの方が大将にアイコンタクトでお土産にと、お寿司までいただいて。

スタッフのサービスの質の高さにもさらに驚き…。

嫌なところが一つもない、胸を打つようなおもてなしの数々。

短い取材時間の中で、森田さんの仕事の姿勢から大切なことをたくさん教わりました。

どんな職業にも言える、一流であること、プロフェッショナルであるということ。

人間力がすべての基本であることということも

私も「手に職を持つ」一人として、とても勉強になりました。

森田さんにお会いできたことをとても感謝しています。

私の思いがあれこれ強すぎて、長くなりすぎて十分に書ききれないので

まだまだ知りたいという方は個人的に…。

自分で感じたいという方は、あくまでも基本は予約制ではないので、

根気よく電話をして「もり田」へ。

どんな寿司なんだろうと知りたい方は、まりちゃんの街角グルメ&旅日記を見てください。

きっと、あなたの中にある何かが変化すると思います。

※たくさんの方にこの記事を一番読んでいただき、

ありがとうございます。

残念ながら風の便りに昨年でしょうか(2012年)。

大将の森田さんは一線を退いたとの話を聞きました。

今はお弟子さんが後を継いでいるそうです。

一生に一度の貴重な体験をこのような形で

できたことにしあわせを感じています。

どの業界でも本物、といえる方々がいます。

やっていることはシンプルだけど、

無駄のない理にかなった動き、人に対する姿勢は

誰もが共通しています。

不景気が延命している、という時代が長く続き、

手に職を!という人達がいまだに増えていますが、

どんな業界に携わっても森田さんをはじめとする

本物、と呼ばれる人たちの背中を見ながら

人としても成長しつづけたいものです。

(編集後記改めブログ後記)

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by MERRYNOTE | 2011-08-03 17:47

シニアライフをこころ豊かに過ごすための40代からの女性の生き方・働き方・暮らし方